お花の仕事をしたいなぁと思った事はありませんか?
私は当時、ごく普通の会社員でした。自分にしか出来ない何かをしてみたくて会社の休日に教室を立ち上げたので、その時の経験をお話しします。
教室を開くのに資格はいりません。植物絡みの資格や賞は持っていればステータスになる程度。ちょっとの勇気で教室を開くことが出来ますよ。
会社を辞めず、通学も留学もしなくて大丈夫。人と話すことが苦手でも平気です。
条件は1つだけで良いのです。「植物が好き」であること。
もう結論を話しちゃいましたが、準備や裏技などを紹介しますね。
一鉢を大事にする講師になろう
「講師」ってどんなイメージですか?テキパキとしていて知らない事が無い感じでしょうか。あとはカリスマ性・・・ですかね。
講師の中には、ガーデナーとして活躍されている方もいらっしゃいますよね。
例えば・・・
素敵すぎるオーラを放つ吉谷桂子先生
出典:Shade YOSHIYA KEIKO|ガーデナーは、その1着を一生着る
私の中で「イングリッシュガーデンの講師」と言えば吉谷先生。身のこなしや植栽センスがとにかく可愛くてカッコいい。真似してブーツやらエプロンやら着ましたが何かが違う私・・・(-_-;)。
ま、外見は別として実際にガーデナーの仕事もしましたし、造園会社にも勤務もしましたが、私には向いていませんでした。ガーデナーは肉体労働です。第一線で活躍されている先生方は沢山の苦労を乗り越えたからこそ、オーラがあるんだと思うのです。
でも。。。
最初から立派な講師じゃなくてもいいじゃありませんか。料理教室の講師のように、フレンチ専門の人もいれば家庭の味を追求する人もいる。尊敬はしても真似しなくていいんです。
自分の味で開けばいい。ラッキーな事に寄せ植えは「自分らしさを一鉢にぎゅっと表現」できます。一鉢で人を笑顔にできるのです。とても嬉しい事だと思いませんか。
以下に私の経験をまとめました。
5W1H(いつ、どこで、 だれが、なにを、なぜ、どのように)の順になっています。
いつ始めるか(時期)
ある程度大鉢で、季節にあった植物ならあまり気にする必要は無いです。小さな鉢から始めたい場合、猛暑や梅雨時は避けた方が無難です。
根をいじった苗は弱っています。そこへ過酷な環境に置く事になるので、蒸れたり根が付かなかったり。残念な結果になったら次から参加してもらえないかもしれません。用土や器を工夫して、管理をきちんと伝えましょう。
比較的丈夫なグリーンだけで葉の美しさをテーマにするのも楽しいですよ。
どこで開くか(場所)
「地域の人が自由に利用できる場所」がおすすめです。最初からカルチャー等に登録して講師登録するのは資金がかかりますから。コミュニティーや地区センターなどに相談してみましょう。
場所の候補として他に・・・ホームセンターや花屋の一角、優しい季節なら屋上庭園や家庭菜園の場所を借りるのも良いです。屋外は土も水も気兼ねなく使えます。
▼申し込み出来た教室の様子。陶芸教室もしている場所なので土が使える環境でした。
サークルのように決まったメンバーを集めないといけない場合は、花好き仲間を呼んじゃいましょう。もし人に関係なく場所だけを借りられたらラッキーです。
寄せ植えは鉢がどんどん増えるので置く場所に困ってしまいます。同じ人が何回も参加してくれるとは限りません。メンバー制だと苦痛に感じてくる人も出てきますから。
土と水が使えるか
土と水が使える場所 である事は必須です。ポット苗から出た湿った土やゴミは後片付けが大変。必ず机や床にこぼれます。シートをはっておくと少し楽です。
ほうき、雑巾、ごみ袋も準備しましょうね。綺麗に早く終わる大事なチェック事項です。
どんな人を対象にするか(講師と集客)
講師とアシスタント
1人で教えるなら5人位までが理想です。
初心者の人が参加している場合は、ポット苗から苗を出す方法を教えてあげたり、根を必要以上に触ってしまったりと、細かいところで時間をとってしまいます。
お花に慣れている方にアシスタントとして入ってもらうと時間効率が良いです。
5人までとお話ししたのは、生徒さんそれぞれ一生懸命に一鉢に向き合っているので同じ苗でも全く違う個性が出るから。
いいなと感じたところを共感したり、ちょっとアドバイスしたり。逆に教わる事もあって楽しいですよ。
集客
集客の一番のコツは「濃い内容」にすること。
場所や曜日に合わせて集客します。借りる場所の方と相談して集客しましょう。
平日ならば若くて小さなお子さんがいらっしゃる奥様の参加が多いです。そんなときはお子様も参加可にしてしまい、親子で楽しめる内容にすると喜ばれます。特に苔玉は土をこねますから楽しい雰囲気になりますよ。
土日ならOLの方もいらっしゃるので、ちょっとシックな大人っぽいイメージが喜ばれます。
値段の安さよりも「内容」です。この時、知らない場所にチラシを配布するのは経験上あまり効果がありません。ただ、知人を誘うのに使うのは良い方法ですね。
小さくてもカラーがいいですよ!第一印象が大事ですから、そこは投資しましょう。
何を教えるか(内容)
初回は管理がしやすい内容がいいですよ。お花の苗は予告通りに苗をそろえるのが難しいので葉物(以下で説明します)から始めるのもひとつの手だと思います。
というのは、ビニールポットの花苗を何日も置いておくのは植物にとって環境が悪いから。生徒さんの苗なのでかなり気を使います。お金をいただくのですからね。植えこむ時に弱っていたり根元が痛んでいたり。教室前につぼみが全部咲ききってしまったり・・・すべて実際の失敗談ですが。
花苗は丈夫でちょっと珍しいものが喜ばれます。ただし、植えこむだけではご自身でも出来るのですから、何か得るものをプラスする事を常に考えていきます。例えば鉢を変わったものにしたり、マルチングに一工夫など。
ありきたりな花苗でも、小さなアイディアで乗り越えられます。決まった受講料の中でいかに楽しんでもらうかを考えます。そこが楽しいところでもありますよ。
初回のカリキュラム
いつでも人気がある葉物の王道は・・・
「多肉」「苔玉」「ミニ観葉」です。
仕入れが高くなりますが、ハイドロカルチャーもおすすめ。無菌の用土なので食卓に置けますし苗が小さいので手軽。これらは長く楽しめて管理が楽なうえに準備もしやすいです。ただしどこでも開催していますから、先ほどお話したようにあなただけのオリジナルを加えましょう!
▼苔玉教室を開催した時の生徒さんの様子
オリジナルを加える
私の場合は・・・
- 多肉
リースと流木の2種類用意(以下画像あり)。
流木の専門業者から仕入れ。
通気性を考慮して穴を開けてもらいオリジナル化した。
マンションの方はリースは無理なので窓辺に置きたいという声があったため。
- 苔玉
大小2つつくり、受け皿と苔玉の下に敷く化粧砂利も用意。
秋の紅葉も楽しめる苗にして長いスパンで考えた。
- ミニ観葉
オリジナルピック作りを追加。
盆栽ワイヤーを好きな形にまげて白いペンキを塗った。
苗のエピソードなどのちょっとした講義も行いました。内心ドキドキでしたけども!
きっとあなただけのオリジナルがあるはず。苗で思いつかなかったら、色にこだわって掘り下げてもいいし何でもいいんです。他の人がしていない事をしましょう。
一緒に楽しむ感覚で計画してみてくださいね。
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なぜ講師をするのか(目的)
何を目指しているかぼんやりとでも決めて挑みましょう。
目標があると楽しくなりますから。なぜやってみようと思ったのか純粋な気持ちを大切に。
最初は不安だけど大丈夫。参加してくれる人は植物に触れて楽しみたくて来ているので、和やかムード。音楽をかけると自分もリラックスできますよ。
まずやってみて少し自信がついたら、回数を重ねて講師としての糧にします。資料を蓄積していき、教室の場所を変えるときのPRにしましょう。
どうやって進めるか(段取り)
名刺
名刺を作りましょう。場所を借りる時の挨拶、仕入れに使います。手ぶらよりも信用されます。なぜ仕入れで使うのかは以下でお話ししますね。今はお金をかけなくてもフリーソフトで簡単に作れますよ。
名刺の肩書?「コンテナアドバイザー」でOK。
ね?なんとなく立派に見えちゃうでしょ!社名のようなものも考えてしまいましょう。嘘じゃないんだからそれでいいんです♪
仕入れ
- 植物、用土、備品
「~造園」など、卸もやっているような植木屋さんや店舗に名刺を持って相談するとチャンスがあります。通って仲良くなって相談。
私の場合、バイクで通える大型花屋に登録する事が出来ました。何パーセントか安く仕入れる事が出来たので用土やサブ的なお花はそこで準備しました。
安く出来るところは安くあげ、浮いた分で素敵な苗を必ず入れるのがコツ。生徒さんは「今日はどんな内容かな」と期待していますから。本当は市場などに行けたらいいんですが、お店を構えている訳ではありませんからね。
- 鉢や小物
裏技があります。大きな声で言うのが勇気がいますが、思いきってお話ししますね・・・
名刺を持参してフラワーショウに行きましょう!!!
あなたは植物を扱っているお店の店長として役者になります。
ハッタリも時には必要なんですっ。そして、いいなと思う鉢が1つからでも仕入れられるブースを探します。または1万円以上で仕入れたら送料無料などの小規模店舗に対応したブース。
カタログをもらい名刺交換。良い鉢や小物があればチェックします。
鉢だけでも立派なオリジナルです。どこにでもあるプラ鉢じゃない、近所ではみかけない素敵な鉢や小物で講習できます。
鉢のこだわりはとても喜ばれましたよ。それが嬉しくて参加してくださる方もいらっしゃいました。苗が終わってもご自身でまた楽しく作れますから。
▼クリスマスの寄せ植え。
資材・リボンと白い枝を追加(抜けばシンプルな鉢植えになる)
▼秋にはシックな鉢を数個注文(ブリキ素材)
講習料
お金をかけなくても喜んでもらえる工夫しましょう。地域施設を利用する場合は特に、使用目的が「人の繋がり」なので儲けは期待出来ないです。
儲けを考えないにしても、金額設定は低くしすぎないように注意です。良い苗が入ったときに高額になる場合もあるので、回を重ねるごとに講習料が高くなるとガッカリされます。「安さよりも質」です。
次回案内
次に何をするか話すと繋がります。もし場所と時間もおさえてあるなら予告してしまう。そして出欠席のリストも用意です。ただ強制しないように。連絡先は名前とメール程度でOK。
ポイントは楽しい気持ちの時に決めてもらう。どんなに良い講習でも、家に帰って落ち着いてしまうと申込みが面倒になったりしますから。
資料に残す
生徒さんの植え込み風景や、それぞれの作品を画像で残しましょう。
どんな内容だったのかも一緒に記録。
こんな雰囲気で教室を開いていますという自分の財産になります。
音楽
毎回リラックスできる音楽をラジカセで流していました。喫茶店にいるように。ボサノヴァ、ハワイアン、オルゴールなど。音楽のチカラを借りるのも良いですよ。
運転
当然ながら、車の運転は出来た方が断然効率的です。実は私ペーパードライバーなのです。でもバイクならどこへでも行ける。
仕入れはバイクで何度も往復して、当日はレンタカー。唯一運転出来る車種はマーチ。。。運転が苦にならない人がうらやましいです。
まとめ
思ったよりも長くなってしまいました。
仕入れのコツや講習時のトークネタなど細かな点は別の記事にてご紹介しますね。
ではポイントを以下にまとめます。
- 時期
小さい鉢は梅雨時や猛暑は避ける。
管理方法を必ず伝える。
- 場所
水と土が使えるところを選ぶ。
地域施設などでコストを抑える。
ほうき、雑巾、ごみ袋を忘れずに。
名刺を作っておく。
- 講師と集客
生徒さんと同じ視線で楽しんで教える。
目が行き渡る人数を考えて決める。
場所と曜日を考えて集客する。
- 内容
葉物はスムーズにいきやすい。
自分のオリジナルを加える。
生徒さんに何かを得てもらう内容にする。
- 目的
なぜ挑戦しようと思ったのか純粋な気持ちと目標を大切にする。
- 段取り
オリジナルな内容を心がけて仕入れる。
喜んでもらえるようなネタを考える。
次回案内をその場でする。
生徒さんの作品や内容を記録しておく。
音楽があると楽しい。
多少ドジをしてもその場の雰囲気が楽しかったら成功です。
誠意さえあればなんの問題もありませんよ!お花の会話がはずんで逆に教わるかも。
私の例なのでこれが正解ではありません。お花屋さんに勤めて、お店のアピールもかねて立ち上げる方法もあります。
お花好きの輪を大事に楽しみましょう。機会がありましたら、挑戦してみてくださいね。
▼文化祭の様子。生徒さんの作品を展示しました。
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