冬の寄せ植えの王道は「パンジー」「葉牡丹」「ストック」ですね。どれも長持ちするけれど、それだけでは足元が寒そうです。一緒に植える植物にも限りがあって、少し寂しい時期ですね。
そこで活躍するのが「下草」です。
寒さや乾燥から守ってくれる、頼もしい存在。植え込み例と共に紹介します。
冬の寄せ植えを華やかにする下草
土が見えている所にマルチング(色々な資材で覆うこと)をしたり、横に伸びたり垂れ下がったりする下草を入れると、寒さや乾燥から守ってくれます。
今回は寒さに強い「下草」5種類と、マルチング例を1つ紹介します。以下、植物名クリックでページジャンプします。
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ラミウム:半日陰グランドカバーの定番

ラミウムの特徴は、コンパクトな美しい葉です。
冬でも外で育ち、 ほふく性(横に這うように伸びる)があるので、下草に最適。 世界に約40種類程あると言われています。
ラミウムは大きく分けて
- マクラツム種
- ガレオブドロン種
の2種類。
園芸店でよく見かけるのは「マクラツム種」です。
マクラツム種:主に園芸店で販売
「マクラツム種」はコンパクトにまとまって育ちますが、夏場の暑さに弱いです。夏場は全ての枝を短く剪定して風通し良く。 半日陰で、軽く湿気がある場所に向いています。
ゴールドラッシュ、ツルオドリコソウ、デッドネットル、スターリングシルバー、ホワイトパール、ビーコンシルバー、ピンクパールなどあり、流通している種類は豊富。
中でもオススメしたいのは「スターリングシルバー」。
スターリングシルバー
花付きが良い品種なうえ、花が大きめで葉との対比がとても美しいです。寒い日、シルバー色の葉に朝露が乗った姿はとても魅力的。
冬は落葉しますが、長く葉色を楽しめるので鉢植えや寄せ植えに向いています。
▼スターリングシルバー:花付きが良い

▼スターリングシルバー:美しい春の芽吹き

ガレオブドロン種:夏場も大きく茂る
夏場も枯らさずに大きく茂らせたい場合は「ガレオブドロン種」がおすすめ。
お花が立ち上がって咲きます。
▼大きく茂り、花が立ち上がって咲く。

和名はキバナオドリコソウ。バリエガツム、ハーマンズプライドなど別の呼び方をすることがあります。
お花が立ち上がって咲くので、寄せ植え鉢の中に入れてしまうと他の植物と干渉してしまう可能性はあります。どちらかというと、地植え向き。日陰のお庭を明るくしてくれる下草です。
最近はネット販売もされていますが、取り扱っているショップは少ないです。

ラミウムの育て方
- 半日陰で軽く湿った場所が好き
- 年に2~3回は切り戻し
- 切った枝は土に挿すと簡単に根が出る
- 夏場や梅雨時の湿気に弱い
- 蒸れないように注意
ワイヤープランツ:細い茎で伸びやかに

ワイヤープランツの特徴は、ワイヤーのような茎と小さな葉。つるを盛んに伸ばして茂ります。寄せ植えに使うときは、大鉢の方が良いでしょう。
-5℃まで耐える、たくましい植物です。
葉の形は、上画像のような丸いタイプ以外にもあります。ここでは、
- スペード:スペードのような葉
- スポットライト:斑入りで明るい雰囲気
を紹介します。
スペード

可愛らしいスペードのような葉がつく品種。
丸い葉のタイプよりもまばらに葉がつくので、伸びていく茎の曲線を楽しめます。
名前の通り「ワイヤーのような茎」が目立つので、素材感を合わせた鉢、例えばブリキやアンティーク、少し苔がついたテラコッタに馴染む品種です。
スポットライト

斑がバランスよく入り、ほのかにピンク色に色付きます。
一見脇役に見えて、案外目を引くので合わせる植物を想像してから植えてみましょう。
例えば、スポットライトと同じ色「白」「クリーム」「ピンク系」が入っている植物を合わせると、繋がりができます。合わせるお花の色が多い場合は、シンプルな1色の丸葉の方が落ち着きます。
逆に、花が少なくて寂しい時期が長い場合はとても美しい名脇役になります。
ワイヤープランツの育て方
- 日向から半日陰で育てる
- 水切れや蒸れに弱い
- 乾いたら水やり
- 株分けで増やせる
- 伸びた枝はいつでも剪定OK
ヒューケラ(つぼさんご):何年も楽しめる宿根草

ヒューケラ(つぼさんご)の特徴は真冬でも美しい、豊富な葉色。
上画像のように、葉の色が違うヒューケラを3株植えただけで十分に華やかになります。お花の少ない時期にとても重宝する植物です。
葉色の他に注目したいのは抜群の耐寒性。-15℃まで耐えます。 常緑の多年草(宿根草)で、何年も楽しめるところも嬉しいところです。
もし、お花を楽しみたい場合は寒さに当てましょう。
5℃以下の低温に当てると初夏に花が咲きます。 お花の色や形は品種によって違います。苗に付いているネームタグをチェックしてみましょう。
▼初夏に可愛い花が咲く

ヒューケラ(つぼさんご)は、美しい葉色・合わせやすい高さ・程よいボリュームから、秋冬の寄せ植えに重宝します。
毎年、秋冬に沢山の種類が流通しますが、人気の色はすぐに完売してしまいます。涼しくなってきたら早めにチェックしましょう。大型・中型・小型といろんな株の大きさがあります。
お花を入れず、ヒューケラ(つぼさんご)をメインにした寄せ植えも綺麗です。
▼ヒューケラ(つぼさんご)をメインにハンギング


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ヒューケラ(つぼさんご)の育て方
- 直射日光と夏の暑さが苦手
- 日陰や株元で育つ
- 夏は肥料を控えて育てる
- コツは水はけと風通し良く育てる
茎から根を出して(シュートと言います)自然に増えていきます。
主役にもなるオススメのカラーリーフです。
クローバー:繫殖力旺盛な可愛い葉

photo by 園芸ネット プラス
クローバーの特徴は、おなじみの可愛い葉です。一年中楽しめる常緑多年草。あまり高くならず、土の近くでボリュームが出る優秀な「下草」です。
耐寒は-15℃から-25℃(品種によって差がある)と丈夫です。
赤色、斑入り、模様が入った葉、4つ葉など、色々な葉色や模様があるのでお気に入りを選んでみてください。
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クローバーの育て方
- 水はけ良く、日当たりの良いところで育てる
- 夏場に少し葉が枯れるが再生する
- 鉢植えはメリハリのある水やりで育てる
- 生育期は時々追肥
- 植え付けは2月~5月頃
繫殖力が旺盛な常緑多年草なので、お庭の雑草対策としても使われています。
とても丈夫なので、初心者さん向き。湿気に弱いので、水やりの頻度に気をつけて育てましょう。
アサギリソウ:美しく柔らかい多年草

山野草コーナーにもある植物です。 アサギリソウの特徴は、柔らかくて細い銀色の葉。
耐寒性のある多年草でヨモギの仲間です。こんもりと丸く大きくなるので大きな鉢の寄せ植えに向いています。小さな鉢は蒸れやすいので、あまりおすすめしません。
冬場は葉が少なくなるので寂しい感じになりますが、朝露に濡れた白い産毛はとても綺麗。手触りはまるでシルクのようです。
▼アサギリソウの葉に集まる水滴
(10月上旬 横浜市)
アサギリソウの育て方
- 蒸れと暑さに弱い
- 日に当てないとダレて見苦しくなる
- 短く切り戻すことで復活
- 耐寒性は-20℃と抜群
- 簡単に株が分かれて増やしやすい。
とにかく蒸れに弱い。夏場や梅雨時に傷みやすいです。株元の汚れた葉を落として、風通し良く育てましょう。
水苔:乾燥防止と霜除けマルチング

(11月下旬 横浜市)
最後に、マルチング例として「水苔」を紹介します。
下草用の苗を購入せずとも「水苔」があれば、オールシーズン臨機応変に使えます。
上の画像は鉢植えの株元アップ。11月下旬に撮影です。 ヒューケラ2色とカラーリーフの組み合わせがとても美しいですね! パンジー、ヒューケラ、アイビー、シロタエギクの株元に「水苔」を敷いています。
「水苔」を敷いておくだけで、秋冬は「寒さ」「乾燥」を、夏は「直射日光」から守ってくれます。
- 既存の鉢に使える
- 植物に触れても傷つかない
- 軽くて通気性が良い
- オールシーズン使える(※)
- 湿気の弱い植物には不向き(※)
(※)梅雨時は蒸れやすいです。湿気が苦手な植物や使う時期は選びましょう。
「水苔」はとっても手軽。湿気が多い季節になったら、サッと取ってしまえば良いのです。軽いので煩わしさがありません。
わざわざ下草用に植物を増やしたくない!という場合に便利です。
【水苔の使い方】
袋から出した水苔は、乾燥していて扱いにくい状態です。水を入れたバケツや洗面器などに数十分つけておき、柔らかくなったら軽く絞って使います。園芸用の圧縮タイプを1つ持っておくと、何かと使えて便利です。

最後に

▲(11月下旬 横浜市)ラミウム・クローバー2種類・ヒューケラが入った寄せ植え
冬の寄せ植えで足元や全体が寂しいとき、下草やマルチングを加えると華やかになります。
今回紹介した5つの苗は、どれも耐寒性があるものばかりです。丈夫で茂りやすいので、切り戻しや株分けで整えてみてください。
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