ポットやプラ鉢から苗を出した時、悩むのが「根の扱い」ですよね。そのまま一回り大きな鉢に植えれば良さそうだけど、崩すべきか迷うことがあります。
根を崩す・崩さないに迷ったときには、根の構造を考えてみると案外分かりやすいです。
根鉢は植物の成長や種類に合わせて崩す
今回は植物の植え替えで必ず必要な「根鉢を崩す・崩さない」のお話。
「根鉢」とは、鉢やビニールポットから苗を引き抜いた時、根と土が固まって見えている状態を言います。
「根鉢(ねばち)」とは
鉢植え植物の土と根が固まった状態のもの

細根の付き方で判断!直根とひげ根
根の役割は、養分・水分を吸収したり、地上部を支えることにあります。植物の根の構造は、大きく分けて以下2種類のみ。
- 直根系
- ひげ根系
どちらも「細根から栄養を吸収」しています。
ということは、細根が少ない=崩さない方が良いですよ!と判断が出来ます。
では、直根系、ひげ根系について見ていきましょう。
直根(ちょっこん)系:根を崩さない

直根系は上のような根っこをしています。
大根やタンポポが代表例。一本ニョキニョキと伸びていて、その周りに毛細血管のように細かい根がついているタイプです。
細根が少ないですよね。そのために、移植すると細根がちぎれてしまったり、負担がかかったりして養分を十分に吸えなくなってしまうのです。
中心の太い部分は苗を支える役割をしています。
このような「直根」の根は、崩さないようにそっと植えます。中でもマメ科は直根として有名です。
直根系の植物
直根系(根を崩さない)の植物例
- だいこん
- タンポポ
- ポピー
- ネモフィラ
- 矢車菊
- スイトピー
- ルピナス
ひげ根系:細根が沢山ある苗のみ崩す(根を広げる)

一方、ひげ根系は上図のような根っこ。
最初は大根やタンポポのように、1本ニョキニョキと直根が出るのですが、最終的にはこんな姿になります。このタイプの根は、崩して良いもの、崩してはいけないものがあります。
根を崩してOKな代表的な例:パンジー

パンジーはとっても分かりやすい「ひげ根」。
養分を吸う細根が沢山ついています。上画像の状態はビッシリ根が密集しているので、根を崩しても大丈夫。
でも、ちぎってはいけません。「崩す」のです。
みかんの皮を剥くようにそっと根を広げてあげます。広げにくい場合は、底を十字にハサミでカットしてから剥くと扱いやすいです。みかんの皮むきのように優しく広げます。
▼崩した様子

ついでにお話すると・・・この時、株元の傷んだ葉や苔を取り除くことで育ちが良くなります。通気性が良くなり、害虫予防にもなります。
▼株元の汚れた葉や苔は取る

上画像はビニールポットから出したばかりの苗。
植える前からゼニゴケが育っちゃってますね。
ゼニゴケはジメジメした場所で繁殖して、ミミズやナメクジの発生場所になります。植え込み前に、もれなく除去しましょう。このまま植えると、苗に負担がかかってしまいます。
アリッサムのように細くて弱い根は崩さない

パンジーのようにビッシリと根がついたものは分かりやすいですが・・根がとっても細かくて細い苗もありますね。
よく使われる「スイートアリッサム」が分かりやすい例。この植物も根をいじりません。
ポット苗から出すと、先ほどのパンジーのような根では無いはずです。今度ぜひチェックしてみてください。根はもっと細かくて頼りない感じです。
アリッサムを寄せ植えで使うときには、あらかじめ位置を決め、植え付けたらもう動かさないようにします。株元も弱いので優しく扱いましょう。
根を触ったら、日陰に置いてメネデール
根を触った後は、植物に負担がかかっています。養分や水分を吸い込む力が弱くなっているので、日陰の涼しい所、出来れば湿気の少ない場所にしばらく置いておきます。
このとき、メネデールを使うと回復力を助けてくれます。
メネデールは化学物質を使わない園芸活力素で、肥料や農薬ではありません。良く吸収され、根の成長部分の生育を助けると同時に、光合成を活発にする作用があります。
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細根が出にくい植物は根を崩さない
根の付き方で判断するのは分かったけれど・・・。購入前に、苗をポットやプラ鉢から出す前に判断したい!と思うことがありますよね。
崩す・崩さないの他の判断としては「移植を嫌う」と書いてある種類です。
植物の育て方やネームタグに「移植を嫌う」と書いてあったら、根を崩さずに植えます。細根が出にくい植物です
まとめ:根を崩す判断は「細根」の付き方

▲オステオスペルマムを鉢から出した様子。ひげ根系です。
植物の根を見て崩すべきか迷ったら
細根の付き方で崩すべきか判断する
- 直根:崩さない
- ひげ根:ビッシリついていたら崩す。細かくて少ない場合は崩さない
鉢から苗を出して根鉢を見た時、「細根の付き方」をチェックしてみてください。
先ほどのパンジー同様、上画像のオステオスペルマムも「ひげ根」系。根鉢を1/3くらい崩して一回り大きな鉢に植え替えます。
▼根鉢を1/3くらい崩した様子

植物を植える前に
ネームタグや育て方をチェックして「移植を嫌う」となっていたら、そのまま崩さないで植えます。代表的な例はマメ科。
水分や養分を吸う大事な根っこ。
あらかじめ扱い方を知っていると、安心して扱えます。